大橋可也&ダンサーズ新作公演「グラン・ヴァカンス」


大橋可也&ダンサーズ新作公演「グラン・ヴァカンス」
-飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』(早川書房)より-

日本コンテンポラリーダンス界の最前衛を切り拓いてきた大橋可也&ダンサーズ、2010年『春の祭典』以来、3年ぶりにシアタートラムに登場する新作は、日本SF界を代表する作家、飛浩隆による小説『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』のダンス作品化に挑戦。
圧倒的な現実の前にアートの存在価値が問われる今だからこそ、SFという虚構の力によって、今を生きる私たちの「人間のかたち」に迫ります。

立って、在る、こと

 じぶんというものがいて、身体があり、心がある。
 身体は静かに立っており、心も平安で、頬にあたる微かな風ひとつない、としてみよう。
 走っているのでもなく、殴りあってもおらず、怒りで心が黒くなってもいない。暑くもなく寒くもなく、痛みも快楽もない。すべての目盛りがプラスマイナス0、ただ立っているだけのその状態を、どういい表せばよいか。
 浅瀬に素足を浸せば肌の上をさらさらと水が流れ、冷感と抵抗とで「ああ、ここに足があるのだ」と向こう脛の輪郭までも実感できる。そうでない静かな状態、これを書きあらわすすべはあるのか。
 『グラン・ヴァカンス』を書き始めたのは二十年前のことで、完成までに十年もかかったのだが、その間、時おりそういうことを考えていた。そのような――ただ、立って、在る状態を文章で表現することについて。
 『グラン・ヴァカンス』から中篇「魔述師」に至る創作の裏には、そういう自問が伏流となって一筋流れている。作中に登場する「官能素」という架空の技術があのような書かれ方をしているのは、そういうわけだ。ただ、立って、在ること。じつはそこに猛烈な演算と摩擦があることを書き留めたかったのだろう、といまふり返っている。
 大橋可也&ダンサーズから『グラン・ヴァカンス』ダンス化のオファーを受けて、ふとそんなことを思い出した。
 ダンサーがただ立っている。
 床に立ち、あなたを見遣っている。
 ダンサーがそっと動き出す次の瞬間、あなたは思い知るのだ。立って、在ること――それがどんなに不穏なことかを。その背後に踊り手がどれだけ爆発的な暴力を隠し持っているかを。

飛浩隆

 『グラン・ヴァカンス』は、天才作家飛浩隆の華麗なる再デビュー作であると同時に、鮮烈な詩的イメージとストイックかつエモーショナルな筆致、そして謎めいたガジェット/ディテールに覆われ尽くした、ゼロ年代日本SFが生んだ傑作中の傑作である。
 永遠に終わらない夏、時間からも空間からも取り残された仮想リゾート地「数値海岸」、人間どもに見捨てられたAI(アーティフィシャルインテリジェンス)たち。だが彼ら彼女らがいかに「人間」に似ていることか。そのデジタルな実存の生々しさは、確かに、われわれの生の或る極限を垣間見せる。
 大橋可也&ダンサーズが、この小説を「ダンス」にすると聞いたとき、一瞬唖然となった。だが暫しの熟考の後、これは驚くべきマッチングだと感嘆した。
 そこにある身体に潜む諸々の変項をキャンセルしてゆき、存在のギリギリの根元まで切り立てるというのが、大橋が出発点とする舞踏の革命だったとしたら、大橋はそのありようを、更にそのまま、いまわれわれが現に生きている世界/社会へと折り曲げて接続しようと試みてきた。それは完膚なきまでにアブストラクトな、だが切れば血が噴き出る肉を備えた、取るに足らない、だが切実な「生きてあること」の様相である。
 それは思えば、飛が描き出した『グラン・ヴァカンス』の風景と、驚くほど似ている。
 大橋可也のダンサーたちは、「数値海岸」に棲むAIたちと、もともとそっくりなのである。
 だからこれは、ほとんど運命的と呼んでもいい遭遇なのだ。

佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)

「グラン・ヴァカンス」A2フライヤー表

振付・構成・演出:大橋可也
音楽:大谷能生、伊藤匠、舩橋陽
ドラマトゥルク:長島確
クリティカルアドバイザー:佐々木敦

出演:皆木正純、古舘奈津子、とまるながこ、山田歩、唐鎌将仁、平川恵里彩、檀上真帆、後藤ゆう、山本晴歌、阿部遥、野澤健、後藤海春、三浦翔、中山貴雄、香取直登、玉井勝教

映像:石塚俊
舞台美術:大津英輔+鴉屋
衣装:ROCCA WORKS

照明:遠藤清敏(ライトシップ)
音響:牛川紀政
舞台監督:原口佳子(モリブデン)
振付助手:横山八枝子
演技指導協力:兵藤公美(青年団)
写真:GO
制作・デザイン:voids

A2フライヤー表(PDF) | A2フライヤー裏(PDF)
A2版フライヤーには、藤田直哉氏(SF・文芸評論家)、佐々木敦氏、大橋可也の鼎談を収録しています。

 

「グラン・ヴァカンス」A4フライヤー表

[日時]
2013/7/5(金)19:00
2013/7/6(土)14:00 / 19:00
2013/7/7(日)14:00
※開場は開演の30分前
※上演時間は2時間30分を予定

[ポスト・パフォーマンス・トーク]
7/7(日)14:00の公演終了後、ポスト・パフォーマンス・トークをおこないます。
出演:飛浩隆(『グラン・ヴァカンス』原作者)、佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)、大橋可也

開始予定時間:16:45
終了予定時間:17:30
※他の公演日のお客様もチケットの半券をお持ちになることでご入場いただけます。

[会場]
シアタートラム

tel: 03-5432-1526
東京都世田谷区太子堂4-1-1
東急田園都市線三軒茶屋駅(渋谷より2駅・5分)
世田谷線三軒茶屋駅となり

A4フライヤー表(PDF) | A4フライヤー裏(PDF)

 

[チケット料金]
U19(19歳以下):2000円
U29(29歳以下):3000円
一般:3500 円
世田谷パブリックシアター友の会:3000円(前売のみ)
せたがやアーツカード:3300 円(前売のみ)
全席自由、当日は各500円増し

※U19、29は大橋可也&ダンサーズのみの取り扱い
※世田谷パブリックシアター友の会、せたがやアーツカードは世田谷パブリックシアターチケットセンターのみの取り扱い

[チケット取扱い]
※7/5(金)19:00、7/6(土)19:00、7/7(日)14:00の回はご好評につき、チケット予約受付を終了しました。当日券の販売を予定しています。他の回の予約もどうぞお早めに。
Webからのご予約:
チケット予約フォーム
携帯予約フォーム

電話でのご予約:
カンフェティチケットセンター
0120-240-540(受付時間 平日10:00~18:00)

予約後すぐに、お近くのセブン-イレブンでチケットを受け取れます。
代金はチケット受け取りの際にセブン-イレブンでお支払いいただきます。

    ≪WEB予約の注意事項≫
  • ご予約前に、観劇ポータルサイト「カンフェティ」への会員登録(無料)が必要となります。
  • セブン-イレブンへの発券手数料は大橋可也&ダンサーズが負担致します。
    ≪電話予約の注意事項≫
  • 払込票番号を予約時にお伝えしますのでメモをご用意下さい。
  • お電話でのご予約の場合、会員登録は不要です。※カンフェティポイントは付きません。
  • 予約有効期間内に、払込票番号をお近くのセブン-イレブンのレジまでお持ち下さい。
    ≪その他のご案内≫
  • 他公演のチケット購入にも使える、共通ポイントがたまります(購入価格の1%)。
  • ポイントは、次回公演や他公演でご利用頂けます。またnanacoギフトに交換することができます。
  • チケットを購入しますと、1枚毎に、途上国の子どもたちに「BCGワクチン1人分」が寄付されます。
  • チケットを購入しますと、託児サービスをご利用いただけます。詳しくはカンフェティ・ウェブをご参照ください。
世田谷パブリックシアターチケットセンター
tel: 03-5432-1515

メールでのご予約:
※6/21からメールでのご予約ができるようになりました。チケット料金は当日会場でのお支払となります。
※7/5(金)19:00、7/6(土)19:00、7/7(日)14:00の回は予約受付を終了しました。当日券の販売を予定しています。
※ご予約は各公演回の前日23:59までの受付とさせていただきます。
tickets@dancehardcore.com まで、
1. お名前(フルネーム) 2. ふりがな 3. 当日ご連絡のつく電話番号 4. ご希望日時 5. 券種(U19/U29/一般) 6. 枚数をご連絡ください。
携帯のアドレスをご利用の場合はdancehardcore.comからのメールを受信できるよう、設定してください。

[チケット発売日]
5/7(火)世田谷パブリックシアター友の会
5/8(水)せたがやアーツカード
5/10(金)一般チケット発売日

[車椅子スペースのご案内](定員あり、要予約)
一般料金の10%割引となります(介添者1名まで無料)。
申込:劇場チケットセンター 03-5432-1515
※ご利用希望日の前日までにお申し込みください。

[託児サービスのご案内] (定員あり、要予約)
料金:2,000円
対象:生後6ヶ月以上9才未満(障がいのあるお子さまについてはご相談ください)
申込:世田谷パブリックシアター 03-5432-1526
※ご利用希望日の3日前の正午までにお申し込みください。

[参加アーティストプロフィール]
大谷能生(おおたによしお)
1972年生まれ。批評家、音楽家として、インディペンデントな音楽シーンに深く関わる。菊地成孔との共著『憂鬱と官能を教えた学校【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史』など、著書多数。ダンスや演劇といった舞台芸術へも積極的に参加し、チェルフィッチュ、神村恵カンパニーなどの舞台で音楽を担当している。大橋可也&ダンサーズには2011年『OUTFLOWS』にてオリジナル楽曲を提供した。

伊藤匠(いとうたくみ)
1973年北海道生まれ。テナーサックス奏者。構造とヒューモアの垣根で演奏することを得意とする。バンドTsuki No Wa、Ryusenkei-Bodyでの活動のほか、ソロでは、音をアンプリファイドさせ、フィードバックを用いた演奏をおこなう。2010年、バンドDaitokaiをスタート。2011年、アルバム『Probation』を発売。2012年1月に上演した大橋可也振付作品『驚愕と花びら#02』にて楽曲提供、演奏をおこなった。

舩橋陽(ふなはしよう)
1969年生まれ。音楽家、美術家。サキソフォンを主に、ソロやセッション、リーダーユニットSHERPA、功陽樹での演奏活動のほか、舞台作品やファッションレーベルへの楽曲提供、演奏参加、2008年からは美術家として音にまつわる作品を発表するなど、活動は多岐にわたる。2012年12月、1st album『3AM』をリリース。大橋可也&ダンサーズとは「明晰」三部作のほか、多くの作品において共同作業をおこなっている。

長島確(ながしまかく)
1969年生まれ。日本におけるドラマトゥルクの草分けとして、コンセプトの立案から上演テキストの編集・構成まで、身体や声とともにあることばを幅広く扱う。ベケットやサラ・ケイン、ヨン・フォッセらの戯曲の翻訳のほか、阿部初美、中野成樹、飴屋法水ら、さまざまな演出家や劇団の作品に参加。また『墨田区在住アトレウス家』等のアートプロジェクトも手がける。ミクストメディア・プロダクト/中野成樹+フランケンズ所属。

石塚俊(いしづかしゅん)
1983年埼玉県生まれ。早稲田大学にて演劇と映像学を専攻。在学中よりファッションブランド「TOKYO RIPPER」への参加や、グラフィックデザインに取り組む。映像表現では、音楽や演劇、コンテンポラリーダンスなどの分野で先鋭的なアーティストとの共同作業をおこなっている。エラーやノイズを取り入れた特殊な機材を編成し、ミクロとマクロを横断する幾何学・抽象的な視覚像が特徴。

大津英輔(おおつえいすけ)
1974年鎌倉生まれ。多摩美術大学劇場美術コース卒業後、突貫屋(現六尺堂)に参加し、主に小劇場を中心とした舞台で美術家として活動を開始する。舞台美術以外にも絵本の挿絵・モビールの制作等も行う。現在、舞台美術研究工房六尺堂を拠点として自身の作品を制作し、フェスティバルトーキョー等において海外作品の制作も行っている。

主催:一般社団法人大橋可也&ダンサーズ
提携:公益財団法人せたがや文化財団・世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
協力:公益財団法人セゾン文化財団、株式会社早川書房

問い合わせ:office@dancehardcore.com

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