エンターテイメント

April 3, 2006

エンターテイメント [ dance ]

過日おこなったWIPの終了後の会話の中で、僕たちの作品がサディスティックあるいはマゾヒスティックな刺激を求める観客にとって一種のエンターテイメントとなっているのではないか、という指摘、その方の発言通りではない、があった。
確かにその通りだし、観客がより「ハードコア」な「過激」な表現を求めているのは事実だと思う。以前、参加したSPACダンスフェスティバル2004の終演後に審査員より「もっと過激なことを期待していました」などという発言を聞いたこともある。そのような人たちに「わかっていない」ということは容易い。実際のところ、彼らには何の思慮も考察も無いのだ、ハードコア、過激の何たるかについて。僕は、彼らを楽しませる、ホラーの役割を担うような、作品を作りたいわけではない。とはいえ、簡単にその意図を否定するわけにもいかないのである。

僕たちの作品『あなたがここにいてほしい』における「嘔吐」という事件は、ショックを与えるものであると同時に、サルトルを引くまでもなく、現代社会に生きる僕たちが日常的に感じる身体反応である。
僕はそのキャッチーさ、を意図して嘔吐を使っているし、そういった意味ではエンターテイメントの要素を自覚しているのも事実なのだ。

芸術作品には、わかり易さ、あるいは、わかり難さ、両者は人によって反応が異なるというだけで同じ意味である、が必要だ。僕たちの作品に特長的な過激と呼ばれる一面は、僕の嗜好、これもまた事実、でもあると同時に、人間性の本質の「表れ」であると思う。その過激さが僕の作品では、わかり易さとわかり難さを演出している。
その演出意図はある意味、「わかっていない」人を啓蒙する役割を担っているのだが、今後の僕たちに必要なものなのか、まだ結論はない。

posted by Kakuya Ohashi at 2006/04/03 0:13:41 | TrackBack
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