間、ま
July 15, 2007
間、ま [ dance ]
大橋可也の振付の外面的な特徴を一言で言い表すとするなら、それは「間」です。
では、間はどのように生まれるのでしょうか。
それはダンサーの内的体験に基づいています。ダンサーが感じること、思うことが時間的、空間的な間を生み出します。ですから、大橋可也の振付にスコアと呼べるものがあるとすれば、それはダンサーの内的体験に他ならないのです。
このスコアは土方巽が残した、弟子達が記述したといった方が正確でしょうが、暗黒舞踏の舞踏譜と近しいものです。そして、大橋可也はその振付を舞踏譜の豊かな世界に近づけたいと思うものでもあります。
内的体験は外的世界の反映である、と言うことも出来ます。
身体を器にし森羅万象をそこに映し出すこと。
舞踏の方法論を端的に言い表すなら、語弊はあるかもしれません、このような表現になるでしょう。
これは大橋可也の振付にも当てはまります。森羅万象というと自然というか人間が関与しないものを想像しがちですが、人間社会の出来事も森羅万象の1つであるに違いはありません。
僕たちが今生きている社会の出来事、日常といってもいい、を内的体験に反映させる。
これが大橋可也がやっていることです。
そこで生まれる間、さあそれは日常の間とどう違うのでしょうか。
この違いに、僕たちは、振付の、ダンスの楽しみを見出すのです。