旅、あるいは移動について
October 25, 2007
旅、あるいは移動について [ dance ]
いつの頃からか旅ということを意識するようになった。僕はもともと旅に出ることなんて興味は無かった。まあ、言ってみれば引きこもりだしね。今だって出かけることは嫌い。そうなのだが。
今ここにいることだって旅の途中ではないのだろうか、そんな気がしてくるようになった。多分、そんな思いと関係がないわけではないだろう、昨年の『明晰さは目の前の一点過ぎない。』は「イクストランへの旅」をテキストに使っていたし、その次の作品は『Journey Beyond the Clarity』と名づけたのだった。
「モーション(移動)はエモーション(感情)を生む」とはヴィム・ヴェンダースの言葉らしい。僕はこの言葉をリュミエールだかで目にしていて、最近までヴェンダースの言葉ではないと思っていたのだが、稽古場ではずいぶん使わせてもらっている。そう、移動は物理的な距離とは関係ないのであって、むしろ感情を生むために必要な体験なのではないだろうか。
僕は、僕たちは、とどまること、簡単に言ってしまえば劇場に、そのシステムに在り続けるいうことなのだが、そのことによって外界との境界線を切り崩そうとしてきた。その方法は間違っていないと思うし、もちろん意図してのこと。もう境界線を軽く越えてもいい時期かもしれない。
そろそろ旅に出ようか。最初の漂白地はけっして遠い地ではないだろうけれども。