暗黒舞踏
February 16, 2007
暗黒舞踏 [ dance ]
暗黒舞踏の振付法の特徴について、以下に私見を述べる。
1. 身体概念の拡張
遠くの小枝、内臓の中のこびと。
身体から遠く離れた地点から出発する、あるいは身体の中に入っていく。
ラバン等が個人の身体を軸にした動きから舞踊を考えていたことと比較すれば、発想の出発点が違うことがあきらかだろう。
2. 主客の倒置
絵を見ていた人物がその絵の中の人物になってしまう。
主体と客体が入れ替わる。そのときの軸となるのは視覚、聴覚などの感覚である。
1と2によって、人間性を解体し再構築するプロセス、それが暗黒舞踏の振付法なのだと思う。
人間性への懐疑、それはポストモダンと呼ばれる芸術活動に共通するテーマだろう。そう考えれば暗黒舞踏とジャドソンダンスシアターなどのアメリカのポストモダンダンスと重なる面も大きい。ただし、アメリカポストモダンダンスがダンスの枠組みにこだわるところから始めたことに対し、暗黒舞踏は人間存在そのものに直接目を向けた。
暗黒舞踏の振付法の可能性はまだまだ残されている。
そして、振付法の実践に土方巽の語彙にとらわれる必要はない。
舞踏の、暗黒舞踏に限らず、技法と作品作りは違う、という。「超詳解!20世紀ダンス入門」での國吉和子氏、正朔氏もそのようなことをいっていた。土方巽自身にも技法と作品の乖離はあっただろう。技法の進化とは対照的に、作品作りの枠組みは解体されていなかったと思う。
技法の追求によって作品をより意味あるものに推し進めることはできないのか。
それは僕たちがやろうとしていることである。
僕たちの活動は暗黒舞踏の影響下にあるのはもちろんだが、暗黒舞踏を継承し発展させる試みでもあるのだ。