テクニック
February 16, 2007
テクニック [ dance ]
これも「超詳解!20世紀ダンス入門」での議論から。テクニックが持つ意味とは。
大貫秀明氏、馬場ひかり氏がテクニックに関する質問への答えとして話したことは次のようなことだった。
テクニックとスタイルを混同してはいけない。作品に直接用いられることがなくてもテクニックを磨くことはダンサーにとって必要である。
もっともな意見のように思える。
しかし、もしそうなら、ダンサーに必要なのはダンスのテクニックではなく、身体訓練なのではないか。
そこには重要な視点が抜けている、あるいは自明のこととして看過されているように感じられるので、補足をしておきたい。
ダンスは舞台作品としての面もあるが、現在の社会においては教育としての役割、需要がはるかに大きい。そのため、多くのダンサーたち、批評家、研究者も教えることで生活をしている。
さらに教育を経済活動して捉えたとき、テクニックは商品と考えられる。
新たなダンスの一派が、新たなテクニックを開発しようとするのも、商品を差別化し顧客を拡大するためである。ここに良い、悪いという価値観は当てはまらない。ごく自然な経済活動、というより自然な行動だから。
翻ってみるに、教えをしないダンサー、振付家、大橋可也とか、にはテクニックは必要ないのか。
少なくとも名前付きのテクニックはいらない。売らないのだから。
無名テクニック?語感はいいが、それをあえてテクニックと呼ぶ必要もないだろう。
というわけで、僕たちはテクニックとは無縁であると断言しよう。