なぜアーティストは貧乏なのか?
March 7, 2007
なぜアーティストは貧乏なのか? [ dance ]
まだ読み終わっていませんが、お薦めします。
著者はオランダ人のアーティストで、かつ経済学者であるとのこと。
本の内容もヨーロッパにおける芸術事情に基づいている。
なのだが、日本の舞台芸術関係者が読んだとしても、思い当たること100連発でしょう。
芸術には神話がある。
- 芸術は神聖である。
- 芸術を通じてアーティストと芸術消費者は神聖な世界とかかわる。
- 芸術は縁遠くて余計なものである。
- 芸術は贈与である。
- アーティストには天賦の才がある。
- 芸術は一般の利益に奉仕する。
- 芸術は人々のためになる。
- アーティストは自律的である。すわなち、他の職業は自律的ではない。
- 芸術には表現の自由がある。
- 芸術作品は本物であり、アーティストはその唯一の創造者である。他の職業にはそのような本物らしさはない。
- 本物の作品創造は果てしない個人的満足を与える。
- アーティストは無私で芸術に奉仕する。
- アーティストはひたすら内的に動機づけられている。
- 金銭と商取引は芸術の価値を貶める。
- コストと需要から解放されたときにのみ、芸術的な特質が生まれる。
- アーティストは耐えなければならない。
- 才能は生まれつきのもの、あるいは神が授けたものである。
- 誰もが才能に恵まれるチャンスを平等に持っている。
- 芸術的才能はそのキャリアの終盤になって初めて現れる。
- ずば抜けた才能は稀なので、アーティストを蓄えた巨大なプールがあって初めて、ごくわずかの飛び抜けた才能あるアーティストを社会に供給することができる。
- 成功は才能ともっぱら献身にかかっている。
- 芸術は自由である。他の職業に厳然としてある障壁はない。
- 成功したアーティストには独学の者もいる。
- 天賦の才、献身、平等なチャンスが芸術にはある。すなわち、最高の者が勝ち残る。
- 最高の者が勝つために、芸術は民主的で公正である。
- 数人のアーティストが稼ぐ高額な収入は正当なものである。
その神話ゆえに芸術が理解されない、アーティスト自身が勘違いをしてしまうことがあるのだろう。
僕たちがやっているコンテンポラリーダンスは文字通り、今僕たちが住んでいる社会の反映である。だから、僕たちがどうやって生きているのか、金を得ているのか、は作品性、作家性とけっして無縁ではない。
にもかかわらず、ダンスを取り巻く経済事情も、アーティスト、制作者以外には知られないままだ。
その状況でいいとは思わない。
金と芸術について考える機会を、アーティストから、作りたい。
まずは「金と芸術」の読書会でもやろうか。