自分達の組織を分析する
March 5, 2007
自分達の組織を分析する [ dance ]
先のエントリでも触れたが世田谷パブリックシアターでおこなわれているセミナー「観客創造にむけて~自分たちの組織を分析する」に提出したワークシートを転載する。
質問の形式についてはP.F.ドラッカーの非営利組織の自己評価手法によるらしい。
# 一部の記述については提出時より加筆した
1. 「使命(目的)」
私たちの使命(目的)は何か?
マクロ的には
世界平和を実現するため。
世界から暴力を追放するため。
ミクロ的には
作家(振付家)の自己満足のため。
2. 「観客」~現在の観客と今後の観客
<現在>
誰が観に来ているか?
(正確に把握は出来ていないが)
観客の半数
a. 出演者の知人
残り
b. コンテンポラリーダンスのファン
c. リピーター
その人たちはどこにいるか?
東京周辺でしか公演をおこなっていない関係もあり、ほとんどが東京近郊在住である。
cについては、男性(30~40代)が中心である。
※コンテンポラリーダンスの客層としては異色かもしれない。ただし彼らはほとんど1人でしか来場しないようだ。
<今後>
誰に観に来てもらいたいか?
(普通に)通勤、通学をしている人。
暴力が日常的である世界にいる人。
その人たちはどこにいるか?
どこにもいないだろうし、どこにでもいるだろう。
これから探さなくてはいけない。
前述したとおり、観客の多くは出演者の知人であるのだが、「知っている」というメンタリティは無視することができないと思う。知っている、からこそ作品の意味を難しく考えることなく自然に受け入れる心理状態が観客の側に生まれるのだ。作品性を訴えることも重要であるが単純に作家、出演者を認知させる機会を増やすことも重要であると思う。
3. 「提供物」
私たちが提供しているものは何なのか?
①強み
観客が想像し考えることが出来る作品である。
②弱み
ダンスっぽくない。
分かりやすくない。
面白くない。
③他の団体との差別化のポイント
他のコンテンポラリーダンスの団体の作品と較べるなら、子供っぽくない、大人の作品であり、社会人たちの鑑賞に堪える。
とはいえ、コンテンポラリーダンス業界自体が狭い世界なので、他団体との差別化はあまり意味がないのではないかと思う。
(追記)
初回の自己紹介のときにも言ったことですが、私たちの課題は観客を増やすことより、質のよい観客を育てることにあると思っています。
残念ながら、あえて語弊のある言い方をするなら、今のコンテンポラリーダンスの客層の質は悪いと思います。質が悪い、ということはどういうことかというと、感受性が低い、自らの言葉で考えることの出来ない観客が多い、ということです。そして、困ったことに、その観客を受容しているのが、ダンス界であり、その言説をリードしている批評家たちであると思います。別の言い方をすれば、批評家たちの貧困な言説にダンスの見かたが規定されてしまっているのではないか、という疑念をいだいています。
ダンス、特に私たちがやっているような作品、はけっして分かりやすいものではありません。だから言葉に左右されることも多いのです。と同時に、言葉による先入観さえ持たなければ、分かりやすいものであるとも言えるのです。それは、私たちの知人である観客、普通の会社員たち、の意見を聞いても明らかなことです。
では、私たちは、どのようにダンスを広める、そのための言説を作り上げる、のか。
そのことを考えていきたいし、実践していく必要があります。
そのための具体的な施策についてはこれから明らかにしていきます。