9(nine) 多摩美術大学レクチャーに関連して
May 5, 2007
9(nine) 多摩美術大学レクチャーに関連して [ dance , nine ]
「9(nine)」多摩美術大学新図書館公演に先立つレクチャー(2007/5/19, 2007/6/9)の講師をつとめていただく木村覚氏、國吉和子氏から、今回のイベントに向けての文章です。
新作の稽古+代表作と最近作をフルヴァージョンで見ること--それは、現在注目の作家・大橋可也の芸術観や方法論に迫るチャンスであるばかりか、いまの日本で起きているダンス・ムーヴメントの最も濃密な部分に触れる絶好の機会となるに違いない。なぜ、いまこうしたアプローチを「ダンス」と呼ぶのか?その発端である60年代のアメリカに登場したポスト・モダンダンスと照らし合わせながら、ダンス系アートの現在と過去を解明してゆく。(木村覚)
私は大橋可也を舞踏家だと思っていた。その後、彼は競輪の選手なんだ、と思いなおし、今は演出家だと確信している。演出家は普通観客の前に姿を現さない。が、大橋はいつも会場のどこかで必ず観客を見ている。さりげなく会場に紛れ込んでいる様子は、まるで何食わぬ顔で犯罪現場に戻ってきた下手人のようだ。この度は図書館エントランスの不安な傾斜の上だ。彼の遠近法はダイナミックに歪むだろう。(國吉和子)
【レクチャー講師プロフィール】
木村覚(きむら・さとる)
1971年、千葉県生まれ。美学研究者として多摩美術大学、国士舘大学、専修大学で非常勤講師を務める。その一方で、ダンスを中心としたシアターをめぐる批評活動を『美術手帖』やwonderland(web)等の誌上で行う。2007年2月に横浜・急な坂スタジオで行った8回シリーズ『超詳解!20世紀ダンス入門』の構成・司会・講師を担当するなど、今年はダンス史を解明するレクチャーに精力的に取り組んでいる。
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イベント告知
國吉和子(くによし・かずこ)
舞踊評論、研究。現在、早稲田大学、多摩美術大学非常勤講師。
著書『夢の衣裳、記憶の壺――舞踊とモダニズム』(新書館)
市川雅遺稿集『見ることとの距離 ダンスの軌跡1962-1996』(新書館)を編集。