ザ・ワールド (A) --ダンスパフォーマンス--
「ザ・ワールド (A)」
2013年、巨編SF小説『グラン・ヴァカンス』のダンス作品化によってコンテンポラリーダンスにまた新たな地平を拓いた大橋可也&ダンサーズ。
江戸以来の歴史と新たな開発の共存する東京・江東区を舞台に、リサーチに基づく複合型のプロジェクト『ザ・ワールド』を始動。
その過程で生まれた2つの面、リサーチャーが街から集めた素材をもとに振付を展開したダンスパフォーマンス(A)と、街の記録をとどめたインスタレーション/トーク(B)。
プロジェクトのモチーフは、吸血鬼――。
振付・構成・演出:大橋可也
ドラマトゥルク:長島確
出演:古舘奈津子、とまるながこ、阿部遥、山本晴歌、伊藤雅子、川瀬雅、長屋耕太、麻上しおり、仲子、大隈智巳
リサーチャー:加藤雄大、小林あずさ、坂上翔子、涌井智仁
音楽・音響:涌井智仁
照明:筆谷亮也
舞台監督:原口佳子(モリブデン)
衣装:ROCCA WORKS
写真:GO (go-photograph.com)
宣伝美術:石塚俊
コーディネーター:及位友美(voids)
上演日:2014/3/8-9
会場:森下スタジオ Cスタジオ
上演時間:70分
主催:一般社団法人大橋可也&ダンサーズ
助成:芸術文化振興基金
協力:公益財団法人セゾン文化財団
このプロジェクトについて
「ザ・ワールド」は大橋可也&ダンサーズ初の、リサーチをベースにしたプロジェクトである。このプロジェクトは、ある土地(江東区)をリサーチし、それをもとにダンスをつくるプロセスを重ねていく、おそらく息の長いものになるはずだ。
リサーチをもとに、踊る?大橋が依拠する暗黒舞踏には「舞踏譜」という手法があり、テキストを身体への指示書として読み解きながら振付を行う。この考え方を応用すれば、どのようなテキストでも踊ることができる。地元の人のおしゃべりでも、リサーチの報告書でも、地図でさえも。
なぜ吸血鬼なのか?吸血鬼の物語には二系統あり、ドラキュラのようなスーパーモンスターが超常的な力を振るうタイプと、もうひとつ、種族としての吸血鬼がひっそりと移住してくるタイプである。後者の吸血鬼は、ひそかにまちに溶け込まなければならない。協力者を見つけなければならない。見た目よく、礼儀正しくないといけない(ゾンビと違って吸血鬼は招待なしには他人の家に入れないのだ)。こうした努力はすべて、血を吸うためである。異物としてのアーティストがまちへ出ていく際の問題の一端がここにある。
このプロジェクトの吸血鬼は、血のかわりに土地の記憶を吸う。そしてまちなかに点々と、ダンスを残していくのだ。
ドラマトゥルク 長島確