ザ・ワールド (B) --インスタレーション/トーク--

2013年、巨編SF小説『グラン・ヴァカンス』のダンス作品化によってコンテンポラリーダンスにまた新たな地平を拓いた大橋可也&ダンサーズ。
江戸以来の歴史と新たな開発の共存する東京・江東区を舞台に、リサーチに基づく複合型のプロジェクト『ザ・ワールド』を始動。
その過程で生まれた2つの面、リサーチャーが街から集めた素材をもとに振付を展開したダンスパフォーマンス(A)と、街の記録をとどめたインスタレーション/トーク(B)。
プロジェクトのモチーフは、吸血鬼――。

リサーチとダンスパフォーマンスが並行して(/交互に)進められるこのプロジェクトの特質をよく伝えるために、ダンスの上演とは別に、写真や音響、映像、トークを含む多角的な展示の場を設けます。まちなかでふと吸血鬼のけはいに気づき、そばだてられる耳、こらされる目。それらが捉えるのは吸血鬼の姿ばかりでなく、江戸開闢以来形づくられてきた土地の記憶であり、これから2020 年へ向けてさらに変貌していく土地の姿でもあるでしょう。

このプロジェクトについて

「ザ・ワールド」は大橋可也&ダンサーズ初の、リサーチをベースにしたプロジェクトである。このプロジェクトは、ある土地(江東区)をリサーチし、それをもとにダンスをつくるプロセスを重ねていく、おそらく息の長いものになるはずだ。
リサーチをもとに、踊る?大橋が依拠する暗黒舞踏には「舞踏譜」という手法があり、テキストを身体への指示書として読み解きながら振付を行う。この考え方を応用すれば、どのようなテキストでも踊ることができる。地元の人のおしゃべりでも、リサーチの報告書でも、地図でさえも。
なぜ吸血鬼なのか?吸血鬼の物語には二系統あり、ドラキュラのようなスーパーモンスターが超常的な力を振るうタイプと、もうひとつ、種族としての吸血鬼がひっそりと移住してくるタイプである。後者の吸血鬼は、ひそかにまちに溶け込まなければならない。協力者を見つけなければならない。見た目よく、礼儀正しくないといけない(ゾンビと違って吸血鬼は招待なしには他人の家に入れないのだ)。こうした努力はすべて、血を吸うためである。異物としてのアーティストがまちへ出ていく際の問題の一端がここにある。
このプロジェクトの吸血鬼は、血のかわりに土地の記憶を吸う。そしてまちなかに点々と、ダンスを残していくのだ。

ドラマトゥルク 長島確

トーク出演:梅山いつき(演劇学者)※3/30のみ、大橋可也、長島確

振付・構成:大橋可也
ドラマトゥルク:長島確
リサーチャー:加藤雄大、小林あずさ、坂上翔子、涌井智仁
写真:GO (go-photograph.com)

宣伝美術:石塚俊
コーディネーター:及位友美(voids)
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[日時]
2014/3/29(土)
2014/3/30(日)

展示:12:00-20:00
トーク:18:00-19:30

[会場]
牡丹町商店街会館
東京都江東区牡丹3-6-5
東京メトロ東西線門前仲町駅 2番出口 徒歩5分
都営大江戸線門前仲町駅 5番出口 徒歩10分
JR京葉線越中島駅 3番出口 徒歩10分

[参加費]
展示:無料
トーク:500円
※ご来場にあたり事前の予約は必要ありません。直接会場にお越しください。

[問い合わせ]
一般社団法人大橋可也&ダンサーズ
tel: 03-6905-9264
mail: office@dancehardcore.com

主催:一般社団法人大橋可也&ダンサーズ
助成:芸術文化振興基金
協力:公益財団法人セゾン文化財団

[プロフィール]
大橋可也&ダンサーズ(おおはしかくやあんどだんさーず)
1999年結成。ハードコアダンスを提唱、暗黒舞踏の方法論を基に現代社会における身体の在りかたを追究しているダンスカンパニー。2008年に発表した『帝国、エアリアル』では関連するフリーペーパーを制作、配布するなど、ダンスの枠組みにとどまらない活動をおこなっている。2013年2月、写真家GO撮影による初の写真集「Books, Phantoms」を発売。2013年7月には、日本SF界を代表する作家、飛浩隆による長編小説『グラン・ヴァカンス』をダンス作品化、発表した。舩橋陽、大谷能生、空間現代ら先鋭的なミュージシャンとの共同作業も多くおこなっている。

長島確(ながしまかく)
日本におけるドラマトゥルクの草分けとして、コンセプトの立案から上演テキストの編集・構成まで、身体や声とともにあることばを幅広く扱う。ベケットやサラ・ケイン、ヨン・フォッセらの戯曲の翻訳のほか、阿部初美、中野成樹をはじめさまざまな演出家や劇団の作品に参加。また『墨田区/豊島区/三宅島/淡路島在住アトレウス家』等のアートプロジェクトも手がける。ミクストメディア・プロダクト/中野成樹+フランケンズ所属。